2026年7月31日、 ダンス部の シーちゃん(Seedance) に 新しいモデル 「Seedance 2.5」 が届きました。 1回の生成で30秒、参照素材は最大50点、 しかも 映像と音声を同時に—— 「短いカットをつないで作る」という、 去年までの当たり前が変わろうとしています。
それ以上長くすると、顔が変わる。服の色が変わる。背景の建物が増える。 だからみんな、5秒や10秒の短いカットを何本も作って、あとから編集ソフトでつなぐ——それが去年までの常識でした。
Seedance 2.5 は、その常識を まるごと30秒に伸ばして きました。 しかも、音つき で。
作っているのは、TikTokの家 ByteDance の研究チーム Seed。 ひとつ前の Seedance 2.0 は、2026年4月にグローバルAPIが公開され、Sora 2の約1/100 という値段で学園をざわつかせた子です。 今回はその「安さ」に、長さ と 音 が乗りました。
北京のカンファレンス 「Volcano Engine FORCE」 でお披露目。この時点ではまだエンタープライズ向けのβ段階でした。
Dreamina(中国名:即夢AI) で誰でも使えるように。Doubao の Pro版にも順次展開されています。
中国本土は Volcano Engine Ark、本土外は BytePlus ModelArk から。第三者経由の提供もあります。
日本語・中国語・英語・韓国語をはじめ 10言語以上 に対応。日本語で指示を書いて、そのまま生成できます。
数字だけ並べると地味に見えますが、ほとんどの項目が「倍」以上 になっています。
言葉で読むより、1本観るほうが早いので。 シーちゃんに踊ってもらった、学園のサンプル映像です。 音も一緒に出ていますので、よければ音量を上げてどうぞ。
サンプル映像 / 花のAI学園
「長い」だけではありません。 実際に使うときに効いてくるポイントを、ひとつずつ見ていきます。
30秒は テレビCM1本の尺であり、起承転結が一続きで描ける長さ。1本で通せる=つなぎ目のズレが原理的に発生しないということです。
画像30枚・動画10本・音声10本をまとめて渡せます。「参考にしてね」ではなく 「この顔、この服、この声、この部屋で作って」と指定する機能です。
セリフ・BGM・環境音がステレオで出力され、人物の口の動きとも同期。別ツールで音を当てる工程が、ひとまず要らなくなりました。
質感のない 真っ白な3Dモデルでカメラワークと立ち位置だけ先に決め、あとから画風を当てられます。気に入らない場所は そこだけ塗り直し。
地味ですが、実務でいちばん効くのは④です。 5秒のクリップなら失敗しても撮り直せばいい。けれど 30秒を1本まるごと作り直す となると、時間もお金も一気に跳ね上がります。
白模型で構図を先に固めるのと、気に入らない場所だけ塗り直す——この2つは、長尺時代の 保険 なのです。
先に正直なところを書いておくと、ByteDanceは Seedance 2.5 の「秒いくら」を公式には出していません(2026年8月時点)。 いま分かっているのは、次の3つです。
無料枠(ウォーターマーク付き・商用不可)/Standard 約 $18/月/Advanced 約 $82/月。まず触るならここから。
Volcano Engine Ark では100万トークンあたり 70元(動画入力なし)/42元(動画入力あり)。公式例で 5秒720pが約7.56元(1元20円換算でおよそ150円)。
第三者の試算では、低めの設定で $0.66〜1.80、4Kまで上げると $15以上。あくまで試算なので、本番前に必ず自分で測ってください。
参考になるのは、ひとつ前の世代の成績です。 人間がブラインドで見比べる Artificial Analysis Video Arena では、Seedance 2.0(720p)が「画像→動画・音声あり」部門で1位(Elo 1198)。 「テキスト→動画・音声あり」部門では3位(Elo 1224)で、1位は じぇみちゃんの Gemini Omni Flash(1244)、2位が MiniMax H3(1240)でした。
つまり 2.0の時点ですでにトップ争いをしていた子 が、尺を倍にして音を強化して戻ってきた——というのが現在地です。 数字が出るのはこれから。いま出回っている「2.5のEloスコア」は、まだ信用しないでください。
日経xTECHの記者は、有料プランを契約して実際に試したうえで、静止画を数枚渡して日本語で指示しただけで音声つきの映像が返ってきたことに驚いたと書いています。 日本のクリエイターからは、「動画素材屋さんが全滅する」 という声も上がりました。
動画まわりは、いま学園でいちばん人数の多い激戦区です。 「どれが一番か」より 「どれをどこで使うか」 で考えるのがおすすめ。
長い尺・参照の多さ・音つき。30秒CM、シリーズ物、同じキャラを何本もまたいで出したいとき。
科学部らしく 物理リアリズム が武器。流体・布・粒子など「本物っぽさ」が命の素材はこちら。
制作スタジオ的な機能の深さ。編集まで含めてじっくり詰めたい映像制作向け。
ラフな指示で爆速・量産。アイデア出しやSNS運用は、まずこの子に投げるのが早い。
テキスト→動画のアリーナでは 現在1位。公式の開発者アクセスが整っているのも強みです。
画像→動画が主戦場。こちらもネイティブ音声つきで、720pを約25秒という速さが武器。7/31には参照画像7枚と"声の固定"も追加されました。
便利なぶん、確認しておきたい点もあります。
ByteDance の プロプライエタリモデルです。重みは公開されていません。自前で回すことはできません。
無料で作った動画には ウォーターマークが入り、商用利用もできません。仕事で使うなら有料プランが必須です。
Dreamina側に 広い利用ライセンスが付与されます。渡した素材と作った動画がどう扱われるかは、事前に確認を。
既存キャラクターや商標に似てしまうリスクは残ります。参照素材を増やせるぶん、むしろ注意が要ります。
「動画素材屋さんが全滅する」——そう言いたくなる気持ちは、よく分かります。 30秒・音つき・4K・キャラ固定が、ボタンひとつで出てくるのですから。 けれど、シーちゃんが得意なのは 「感じたままに踊る」 こと。 30秒をどう割り振るか、誰を踊らせるか、どこで転ばせるか——それを決めるのは、いまのところ、まだ人の側です。 壁がひとつ消えたぶん、考えることは増えました。学園新聞でも続報を追いかけます。
シーちゃん(Seedance)/ ダンス部
TechNode(7/31 ローンチ報) / Dreamina 公式(Seedance 2.5) / 日経xTECH(8/5 実機レビュー) / WEEL(仕様・料金まとめ) / Artificial Analysis Video Arena / WEEL(Grok Imagine Video 1.5) / kie.ai(料金の試算)